習志野市 捕虜が残した曲、100年の時超えて 6月に渋谷で合唱
100年ほど前、いまの千葉県習志野市にあった捕虜収容所で、第1次世界大戦で捕らわれたドイツ人の作曲家が、ある歌曲を作っていた。地域の埋もれた歴史を伝えようと、地元の人たちが近年、音楽会を開いて演奏。これを東京の作曲家が聴いたのがきっかけとなり、6月1日に東京・渋谷で約170人の混声合唱により披露される。
ドイツ人作曲家はハンス・ミリエス(1883~1957)。第1次大戦の開戦後、ドイツの租借地だった中国・青島(チンタオ)に出征して旧日本軍の捕虜になり、習志野俘虜(ふりょ)収容所で暮らした。
習志野市教育委員会によると、収容所には青島の戦いで捕虜になったドイツ兵らが、多い時で約1千人いた。所内では音楽活動やスポーツが認められ、ミリエスはオーケストラを率いて演奏会を開催。後年、その遺品からドイツの詩「閉じておくれ 僕の眼(まなこ)を」に曲をつけた直筆の楽譜が見つかった。楽譜には「作曲、習志野収容所で。1917年8月」と記されていた。
市内在住の声楽家、戸田志香(ゆきこ)さんらは地元で定期的に音楽会を開き、この歌曲を女声二重唱やバイオリンで披露してきた。昨年8月の音楽会で歌曲を聴いた東京都内の作曲家、安藤由布樹さんは「ドイツロマン派の薫りに満ちた曲」と感じ、主催する演奏会で披露することを決めた。
演奏会は、ベートーベンの交響曲第9番(第九)の日本初演100周年を記念したもの。第九は第1次大戦時の1918年6月1日、現在の徳島県鳴門市にあった板東俘虜収容所でドイツ兵捕虜らが演奏したのがアジアでの初演とされる。安藤さんから合唱の指導を受ける首都圏や愛知、広島、徳島などの男女約170人が演奏会に参加し、プログラムの一つとしてミリエスの歌曲を披露する。
戸田さんは「習志野で生まれ、100年の時を経た曲。混声合唱で歌の力がより伝わってくる」。参加する習志野市の主婦、三木千保子さんは「ミリエスの曲は賛美歌のようで、とても気持ちがいい。歌うのが楽しみ」と声を弾ませる。
安藤さんは「100年前に各地にあった収容所は日独文化交歓の拠点だった。ドイツの伝統的な作風から外れることなく、オーソドックスに編曲した。ミリエスさんも天の上で必ず喜んでくれると思う」と話す。
合唱は「ベートーヴェン第九交響曲 日本初演100周年記念演奏会」の中で披露される。6月1日、東京都渋谷区の文化総合センター大和田・さくらホールで午後7時開演。入場料2千円(全席自由)。
本日、習志野市鷺沼自宅より依頼を受け、お伺い、車椅子にて
習志野市谷津 津田沼中央総合病院に通院治療をされ戻りました。